今回の記事では登山用靴下に良く使われる素材、ウールと化繊製の靴下を実際に山で使って徹底比較します。
それぞれにメリット・デメリットがある素材なので、自分の登山スタイルに合わせて選ぶのがおすすめです。
どちらの靴下が自分に合っているか、考えてみてくださいね。
この記事を読むと
・なんで登山の靴下は分厚いの?
・ポリエステル素材の靴下の特徴は?
・ウール素材の靴下の特徴は?
ということが分かります。
こんにちは、まめぞう(@mamezou_outdoor)です!
学生時代にワンダーフォーゲル部で山を始め、登山歴12年目になりました!
低山はオールシーズン、高山は夏~秋にかけてテント泊縦走しています。
スポーツ・アウトドアブランド向けに機能性生地を開発・販売する商社を経て、今は国内某アウトドアメーカーのスタッフです。
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登山の靴下はなぜ厚手?
クッション性を高めるため
登山用靴下の大きな役割は、クッション性を高めることです。
登山道は街中の道と違って、石や岩、木の根っ子が出ていて足に突起が当たります。
登山靴の靴底も硬く、ハイテクスニーカーのようなふわふわなクッション性はありません。
さらに自重に加え、荷物の重さも足にずっとかかり続け、下りの時にはその重さ分の衝撃が足にかかるんです。
足の裏を衝撃や、突起から守るために登山用靴下でクッション性を高めましょう。
靴とのフィット感アップ
登山靴は足のサイズより0.5~1cm大き目で選びます。
下山中につま先が靴の先に当たらないようにするためです。
薄い靴下で大き目の靴を履くと足がフィットせず、中で動いてしまって靴擦れしてしまいます。
ですが登山用の分厚い靴下を履くことで、靴と足の間の隙間を埋めてしっかりフィットしてくれます。
ポリエステル素材の靴下モンベル「WIC. トレッキングソックス」
ポリエステル素材の靴下は、日本の代表的アウトドアブランドであるモンベルの「WIC. トレッキングソックス」を紹介します。
2,000円以下という手ごろなお値段で、豊富なサイズ、カラーバリエーションから選べます。
アクリルとポリエステルの化学繊維が多く入っていて、速乾性に優れる靴下です。
日本人の足に合うように設計されたパターンで、登山中でもずれ落ちにくく、ふくらはぎにしっかりフィットしてくれます。
価格 | 1,870円 |
混率 | アクリル48% ポリエステル23% ナイロン20% ウール7% ポリウレタン2% |
サイズ展開 | Women’s モデル:S, M 男女兼用モデル:S, M, L |
重量 | 84g |
品番 | 1118209 |
WIC. トレッキングソックスのおすすめポイント3つ
速乾性に優れる
「WIC. トレッキングソックス」にはポリエステル素材が23%使われていて、速乾性に優れます。
肌面の汗をすばやく吸い上げて靴下表面の広範囲に拡散してくれ、速乾性を促すんです。
登山靴は透湿防水素材が使われているものがほとんどですが、透湿性があっても靴の中は蒸れてしまいます。
足にかいた汗を靴下が吸ってくれるため、ドライな質感で快適に歩けるんです。
化繊の靴下はウールに比べて乾きが早いため、縦走中に汗や雨で濡れてしまっても翌日快適に使えます。
耐摩耗性が高い
ポリエステル素材はウールに比べて耐久性が高いです。
擦れに強く毛玉ができにくいので、長期間毛玉や破れを気にせず使えます。
実際筆者が5年ほど使っているモンベルの「WIC. トレッキングソックス」がありますが、穴も開かずいまだに現役で使っています。
長く使用しているとさすがにクッション性はヘタってきますが、それでも日帰り登山ぐらいであれば使用しても問題ないぐらいの厚みは維持してくれています。
抗菌防臭機能付き
「WIC. トレッキングソックス」には、抗菌防臭加工が施されています。
汗をかくと臭いが発生しやすい化学繊維ですが、防臭加工を施すことで嫌な臭いの原因を抑えられます。
数日間同じ靴下を履く縦走登山だと、やはり臭いが気になりますよね。
臭いの原因菌の増殖を抑えてくれるので、しっかりと臭いを予防してくれるんです。
ウール素材の靴下 ダーンタフ「ブーツフルクッション」
ウール素材の靴下は、アメリカの靴下ブランドであるダーンタフの「ブーツフルクッション」を紹介します。
ウールが69%という高い割合で使われていて、ウール素材の良さを存分に感じられる靴下です。
アクティビティや季節に応じて靴下の長さや、厚みが選べるラインアップになっています。
価格 | 3,850円 |
混率 | ウール69% ナイロン27% ポリウレタン4% |
サイズ展開 | S, M, L 男性用、女性用モデルでそれぞれ展開 |
重量 | 87g |
品番 | 19441405 |
ブーツフルクッションのおすすめポイント3つ
ニオイがしにくい
ダーンタフの「ブーツフルクッション」は、ウールが多く使われています。
ウールにはもともと繊維自体に防臭機能が備わっています。
そのおかげで数日間同じ靴下を履いても臭わないんです。
ウールの繊維表面は「スケール」と呼ばれるウロコ状のもので覆われています。
そのスケールの内部にはアミノ基と、カルボキシル基という反応基が存在します。
その2つの反応基がそれぞれ汗の臭いの原因である酢酸とアンモニアと結合して、化学反応を起こして臭いを消してくれるんです。
天然由来の防臭機能なので、ポリエステル素材と違って洗濯しても機能が低下しないのがポイントです。
適度な保温性がある
ウールの繊維には細かい縮れがあります。
この縮れた繊維と繊維の間に空気を含み、その空気が断熱材の役割を果たしてくれるため温かいです。
さらにウールの繊維が靴下内の水分を吸い取って放出してくれるため、夏でも暑くなりすぎず適度な温かさに保ってくれます。
夏の暑い季節に履いても蒸れにくく、靴下内を快適な状態でキープしてくれます。
生涯保証付き
ダーンタフの靴下のすごいところは、生涯保証がついていることです。
もし通常の使用で穴が開いたり、破れたりしても、靴下を送れば新品と交換してくれます。
このサービスは強度の高い靴下であるという自信に裏打ちされたものです。
ウール100%であれば耐摩耗性が低いため、すぐに穴が開いてしまいます。
ですが強度に優れるナイロン素材を混紡して、高密度に編み上げているため強度と耐摩擦性を上げているんです。
ポリエステル製靴下の気になる点2つ
大量に汗をかくと蒸れる感覚がある
ポリエステル製の靴下は速乾性に優れますが、夏の低山などで大量に汗をかくと蒸れを感じます。
ウールの靴下に比べると早く乾いてくれますが、それでも履いている間の不快感は否定できません。
生地が分厚いので仕方がないことですが、汗の量が多い方は速乾性に期待しすぎないようにしましょう。
数日履くと臭う
ポリエステル製の靴下は抗菌防臭加工が施されているものが多いですが、それでも数日同じ靴下を履いて縦走登山をすると臭います。
また薬剤を塗布して加工しているため、洗濯や使用を繰り返すと機能は落ちていってしまうんです。
防臭加工に期待して買って、いざ縦走登山で使ってみるとガッカリすることもあるかもしれません。
臭いが気になる場合はウールの靴下がおすすめです。
何日履いて臭ってきたかは、記事の後半で検証しています。
ウール製靴下の気になる点2つ
毛玉ができやすい
ウールは毛羽立ちのある繊維なので、摩擦により毛と毛が絡まって毛玉になりやすいです。
使用中は仕方がないですが、洗濯するときは裏返しで洗ってケアしてあげましょう。
乾きが遅い
ウールはポリエステルに比べて乾きが遅いです。
濡れてしまっても保温力は落ちませんが、シットリとした不快感はぬぐえません。
縦走登山の小屋泊で履く場合は、乾燥室を使ってできるだけ乾かしてあげましょう。
ポリエステル製の靴下でも同じことが言えますが、テント泊の場合は乾燥室が使えないので、替えの靴下を1足持って行くと安心です。
実際に登山で履いて違いを検証
モンベルの「WIC. トレッキングソックス」とダーンタフの「ブーツフルクッション」を実際に山で履いて検証してきました。
8月の槍ヶ岳登山、2泊3日の行程で新品の靴下を片足ずつ履いて試しました。
フィット感としてはどちらも遜色なく、ぴったりとフィットしてくれます。
歩いている最中のずり下がりや、かかとの余りも感じませんでした。
1日目
曇りで湿度が高いコンディション。
新穂高温泉から槍平小屋まで約5時間行動しましたが、アップダウンは少なかったので発汗量は少なかったです。
歩いている最中、ダーンタフの「ブーツフルクッション」は若干しっとりとしている感覚がありました。
ただテント場に着いて触ってみたところ、濡れているわけではなかったです。
モンベルの「WIC. トレッキングソックス」は終始ドライなタッチで、不快感は感じませんでした。
臭いは初日の段階ではどちらも気になりません。
2日目
2日目は槍沢から槍ヶ岳まで飛騨乗越をハイクアップし、その後西鎌尾根で双六小屋に向かう11時間の行程です。
昼間は晴れて暑かったですが、14時頃から雨に降られたため湿度は高かったです。
テント泊装備15kgを背負ってハイクアップしたので、発汗量も多かったです。
歩いている最中は、どちらの靴下も足の感覚に差異はありません。
テント場に着いて靴下を触ってみると、モンベルの「WIC. トレッキングソックス」は若干湿り気を感じました。
ダーンタフの「ブーツフルクッション」も、湿り気は感じますが1日目との差は感じられません。
2日目にして臭いに差が出始めました。
ポリエステルリッチなモンベルの「WIC. トレッキングソックス」は、汗の臭いがします。
発汗量が多かったこともあるかもしれません。
ですがウールリッチなダーンタフの「ブーツフルクッション」は、まったく臭わなかったんです。
ここでウールの防臭性の力を感じ始めました。
3日目
検証最終日は双六小屋から新穂高温泉まで下山です。
この日はよく晴れて暑く、標高も下がっていくので5時間の行動時間に対して発汗量が多かったです。
履き心地は両者大差ありません。
汗を吸って若干湿った感じも、どちらの靴下も同じぐらいでした。
ただ最終日にして如実に臭いが違いました。
ポリエステルリッチなモンベルの靴下は、下山後かなり臭いました。
ですがウールリッチなダーンタフの靴下は初日とほとんど変わらず、3日履いたとは思えないぐらい臭わなかったんです。
履き心地に差は感じませんでしたが、臭いの問題になると明らかにウールの靴下の方が優勢です。
日帰り登山メインの場合は、値段も手ごろなモンベルの「WIC. トレッキングソックス」で良いかもしれません。
ですが縦走登山で数日間同じ靴下を履く場合は、ダーンタフの「ブーツフルクッション」の方がおすすめです。
比較表
価格 | 素材 | 速乾性 | 防臭性 | フィット感 | クッション性 | |
モンベル WIC.トレッキングソックス | 1,870円 | アクリル48% ポリエステル23% ナイロン20% ウール7% ポリウレタン2% | 〇 | △ | ◎ | ◎ |
ダーンタフ ブーツフルクッション | 3,850円 | ウール69% ナイロン27% ポリウレタン4% | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
トレッキングソックスのお手入れ方法
トレッキングソックスは普通の靴下に比べるとお高いので、長く使いたいですよね。
長く使うためには適切なお手入れが必須です。
トレッキングソックスを洗う時は、次の3つに気をつければOKです。
1. 裏返して洗濯
2. 柔軟剤は使わない
3. タンブル乾燥は厳禁!
表のまま洗濯してしまうと、他の衣服と擦れて毛玉ができてしまいます。
表面の毛玉を防いであげるためにも、裏返して洗うと見栄えの良さも保てます。
そして洗う時は柔軟剤の使用は避けましょう。
柔軟剤に含まれている成分が、吸水性を劣化させてしまうんです。
足にかいた汗を吸ってくれる役割も果たすのがトレッキングソックスなので、吸水性を落とさないためにも、柔軟剤の使用はやめましょう。
洗剤は中性洗剤でなくて大丈夫です。
最後にタンブル乾燥は絶対にやめましょう。
筆者は何も考えずにタンブル乾燥して、写真のように縮んでしまいました(泣)
脱水後は日陰で吊り干しがおすすめです。
登山スタイルに合わせて靴下を選ぼう
化繊の靴下とウールの靴下を登山で実際に使って徹底比較しました。
ポリエステルは汗をかいたり雨に濡れたときの乾きが早いです。
一方ウールは靴下内をずっと快適な温度に保ってくれ、臭いもしにくい素材です。
それぞれ一長一短があるので、自分の体質や登山スタイルに合わせて選びましょう。
靴下一足でも登山が快適になりますよ。
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