【初心者向け】山岳用テントの選び方を解説!おすすめ商品6選

ギア
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今年こそテント泊したい!

筆者撮影

山小屋に気軽に宿泊できなくなったこのコロナ禍において、今年はテント泊で縦走したい!という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

縦走はテント泊派の筆者が、テントの種類から選ぶときに重視すべきポイント、おすすめ商品まで紹介していきます。

テントの種類

シングルウォール

出典:O-DAN

テントにはシングルウォールとダブルウォールなるものが存在します。これはテントの壁の枚数を表します。つまり、シングルウォールは壁が1枚、ダブルウォールは壁が2枚ということです。

シングルウォールのメリット

・軽量

フライシートを使用しない分、ダブルウォールよりも重量が減ります。

・設営が簡単で早い。

フライシートを被せてテント本体と繋げる時間がカットされるので、簡単に素早く設営できます。

・悪天候に強い。

壁が1枚しかないので、強風時は内側から体で支えれば耐え忍んでくれます。また、テント本体にも強度があるため、強い風雨に耐性があります。

シングルウォールのデメリット

・結露が起きやすい。

シングルウォールはテント自体に透湿防水性を持たせており、テント内の湿気を外に出してくれる仕組みになっています。ですが、ダブルウォールと比べて外気温とテント内の温度差が大きくなるので、結露ができやすくなります。

・暑い。

ダブルウォールはテント本体とフライシートの間に空気層ができるためまだ涼しさを感じますが、シングルウォールはダイレクトに外気温を感じるため、暑いです。

・前室がない。

靴の収納場所や調理スペースが取れません。
(前室とは、テント本体とフライシートの間にできる空間のことです。)

総合的に見て、初心者の方含め、一般登山者の方にはシングルウォールテントは不向きです。


シングルウォールテントは、少しでも荷物を軽量化したい、設営スペースが限られる、すぐにテントを設営しなければ危ないといったハイレベルな登山やクライミングをされる方向けのテントです。

ダブルウォール

出典:O-DAN

ダブルウォールは、テント本体とフライシートの2つを使うことで、壁が2重になっているテントのことを言います。

ダブルウォールは通気を確保するために、テントとフライの2種類の生地を使うのです。

ダブルウォールのメリット

・結露が少ない。

下の図のように、テント内の気温と外気温の差をフライシートが埋めてくれるため、ダブルウォールでは結露ができにくくなるのです。

「山岳テント泊の基礎講座」というwebサイトでとても分かりやすく説明されているので、是非ご覧ください。


山岳テント基礎講座 3,ダブルウォールとシングルウォール (sangakutent.work)

出典:山岳テント泊の基礎知識 (山岳テント基礎講座 3,ダブルウォールとシングルウォール (sangakutent.work))

・前室がある。

テントとフライシートの間に空間=前室ができるため、調理をしたり靴を置いたりするスペースができます。

ダブルウォールのデメリット

・設営に時間がかかる。

テント本体を立てた後に、フライシートをテント本体に被せる→繋げる→張り綱をペグダウンという作業があるため、シングルウォールよりも設営に時間がかかります。

しかも、雨天時にテント設営する場合は、テント本体に雨がしみこまないようにするため、素早くフライシートをかける必要があります。

・悪天候に弱い。

ダブルウォールのテントはシングルウォールのテントに比べ、悪天候に弱いです。横殴りの雨が降ると、フライシートの下から雨が吹き込み、テント内部に雨がしみこんでくる恐れがあります。

あるいは、風でフライシートとテントがぴったりとくっついた状態になり、フライシートにできた結露がテント内に染みこむこともあります。

私は夏のアルプスで強風時にテントを張って、まさにこれでテント内に浸水してきました(泣)。

また、テント本体のフロア部分に使用されている防水生地のせり上がりが低いと、浸水してくることもあります。

寝袋の濡れを防ぐためにも、テントの中に敷くテントマットの使用をおすすめします。

吊り下げ式

出典:YAMAP (初めての登山テント、賢く選ぶには?テント泊の達人たちに聞いてみた | YAMAP MAGAZINE)

テントポールの構造には、吊り下げ式とスリーブ式の2種類があります。

吊り下げ式は、上記のイラストのように、テント本体をポールに吊り下げて設営するタイプです。
最近のテントはこの吊り下げ式が多いように感じます。

吊り下げ式のメリット

・設営が簡単。

設営は、ポールの端をテント本体の4隅に入れて立ち上げ、あとはテント本体に付いているフックをパチパチとポールに固定していくという方法です。

初心者の方でも1度練習すれば、1人でも簡単に素早く設営できます。

・結露に強い。

吊り下げ式では、フライシートをポールに固定することになるので、テント本体とフライシートの間に隙間ができます。そのため、テント本体とフライシートの間を空気が循環するようになり、結露ができにくくなるのです。

吊り下げ式のデメリット

・強度が低い。

吊り下げ式は、フックの部分にピンポイントで負荷がかかるため、スリーブ式に比べて強度が下がるとされていました。

また、強風によりフックが外れてしまうといったこともありました。ですが、各メーカーの技術開発により、強風にも強い吊り下げ式のテントもあります。

日本の山岳シーンでの使用を考えられた作りになっているので、過度に心配する必要はないでしょう。

実際私も吊り下げ式のダブルウォールテントを使用して、アルプス縦走などをしています。

スリーブ式

出典:YAMAP (初めての登山テント、賢く選ぶには?テント泊の達人たちに聞いてみた | YAMAP MAGAZINE)

スリーブ式は、テント本体に縫い付けられている袋=スリーブ部分にポールを通し、4隅の穴にポールの端を差し込んで立ち上げます。

私も学生時代はスリーブ式のテント、エスパースを使用していました。

スリーブにポールを通したり、抜いたりするときは、慣れないうちはスリーブ内によく引っ掛かるので、設営・撤収に慣れが必要だと思います。

スリーブ式のメリット

・強度が高い。

スリーブ式は生地全体でポールを支えるため、ポールにかかる負荷が分散され、吊り下げ式に比べて強度が高くなります。

スリーブ式のデメリット

・結露しやすい。

スリーブ式では、テント本体とフライシートの間が狭くなるので、空気の通り道が少なくなり、結果的に結露が起きやすくなります。

テント選びで重視すべきポイント

重量

筆者撮影

テントを持って山に行く時は、縦走登山をする時でしょう。
ただでさえ荷物が多くなる縦走登山なので、テントは軽い方が良いです。

キャンプで使用しているテントでもいいよね♪と思われる方もいるかもしれませんが、山岳用テントは、山での使用を見越して軽量に作られているため、キャンプ用と分けて使用することをおすすめします。

テントは雨や結露で濡れることもあるため、そうなると必然的に重たくなります。これが重たいキャンプ用テントだった日には、ストレスでしかありませんね・・・。

居住性

出典:O-DAN

テントを選ぶ際には、居住性も重視してほしいポイントです。

テント泊での縦走登山では持って行くザックのサイズも大きくなるため、テント内でスペースを取り、必然的に居住スペースが狭くなります。

私は友達と2人で使用するために2人用テントを購入しましたが、2人分のザックを置いて、大人2人が横たわるとかなり窮屈です。

3人用にすべきだったと毎回後悔しています・・・。

1人用で使用予定の方も、2人用で購入を検討された方が広々使えるので、後々後悔しないかもしれません。

アウトドアショップに行けば、実際にテントを立てて入ってみられるので、テントを購入する際は、1度購入予定のテントの中に入ってみることを強くおすすめします!

耐久性

出典:Pixabay

山岳用テントは、山の強風や雨に耐えられるように、ポールや使用する生地の細部まで高い技術が使われています。

特にアルプスでは強風が吹きつけるサイト場も多いため、耐久性の高いテントが必須です。
山岳用として販売されているテントを選べば、この辺りは問題ないでしょう。

おすすめテント6選

ダブルウォール

モンベル ステラリッジテント

出典:モンベル (モンベル | オンラインショップ | ステラリッジ テント2 本体 (montbell.jp))

モンベルの山岳用テントで最軽量を誇るのが、「ステラリッジテント」です。軽く、強く、吊り下げ式による素早い設営が可能になっています。

強度が低いという吊り下げ式のデメリットを解消するために、ポールの交差部分をジョイントパーツで接続することにより、スリーブ式と変わらない高強度が実現されています。

吊り下げ式なので結露はしにくいのですが、テント4隅や入り口のジッパー部分にシームテープ処理がされているため、徹底的に防水がなされています。

ステラリッジのポイントはフライシートが別売りというところ。自分の好きな色を選べるというのも嬉しいのですが、3シーズン用のレインフライと雪山用のスノーフライを購入すれば、4シーズン使えるテントになるのです!

フライシートが劣化してきたら、フライのみ買い替えるということも可能なので、コストパフォーマンスに優れます。

ファイントラック カミナドーム

出典:finnetrack (テント(カミナドーム) | 国産アウトドアブランドのファイントラック (finetrack.com))

“日本の山岳環境で思う存分に使い倒せるテントが欲しい。”というfinetrack社の思いが詰め込まれたテントが、カミナドームです。

軽量性、耐久性を高いレベルで実現しているのは言うまでもないのですが、カミナドームのポイントは、快適な居住性にあります。

天頂部と底部で弾性の異なる異径ポールを使用し、テントの壁を立ち上がらせることで、広い居住空間が確保されています。

また、テントの長辺側に入り口を設けることで、広い前室が確保されています。2人分の靴を置いてもゆとりのあるスペースができるので、使ったばかりでまだ熱い火器をちょい置きしておくこともできます。

そして、私が個人的に感動したのが、収納したときに四角くなることです!一般的なテントは円筒形になるため、パッキングが難しく、どうしてもデッドスペースが生まれてしまうんですよね。

しかし、カミナドームは弁当箱型の四角い形に収納できるため、ザック内でデッドスペースが生まれません!

カミナドームもスノーフライが別売りされているので、4シーズン使用も可能です。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ファイントラック カミナドーム2 ( オレンジ / グレー )
価格:68200円(税込、送料別) (2021/3/9時点)


MSR HUBBA HUBBA NX

出典:株式会社モチヅキ (ハバハバ NX | 株式会社モチヅキ (e-mot.co.jp))

3シーズンの低山メインで使用を考えている方におすすめのテントがMSRのハバハバNXです。ツーリングや少人数でのキャンプにも良さそうです。

実物を見てまず思ったことは、「中、広っ!!」でした。ポールが天井部で交差しているため、テントの壁がまっすぐ立ち上がり、広い居住性が確保されています。

ポールには弾性の高い素材が使われており、風の強さに応じてポールが曲がり、元の形に戻るようになっています。

テント本体は入り口だけでなく、壁の上半分にもメッシュが採用されているため、通気性が確保されてており、結露が起こりにくくなっています。通気性が高い分、夏の低山でも快適に眠れるでしょう。

入り口は長辺部分に2か所あるため、どちらからでも出入りすることができます。暑い時には、両方の入り口を開けておけば、風が通って快適です。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

(0)MSR37005・HUBBA HUBBA NX
価格:68200円(税込、送料無料) (2021/3/9時点)


ダンロップ VS-20

出典:株式会社HCS (ALPINE TENT | VS-SERIES/VS-20 (hcsafe.co.jp))

ダンロップのVSシリーズテントの売りは、耐久性です。テントの底部分には、一般的な山岳用テントの倍以上の強度を持つといわれる75dのポリエステル糸を使用しています。

普通のテントは底部分の破れを防ぐために、テント本体の下に敷くグラウンドシートの併用を勧めていますが、VSシリーズテントはグラウンドシートがいらないほどの強度を誇っています。
(とはいえ、グラウンドシートを使用した方が長持ちはするので、あった方が良いです。)

そして、VSシリーズは壁があまり立ち上がっていないため、耐風性に優れています。

実際に北岳肩の小屋のサイト場でこのテントを使用しました。一晩中眠れないほどの強風が吹いていましたが、テントは無傷で無事に朝を迎えることができました。

ダンロップのテントは10年、20年現役で使い続けるハードユーザーもいるようで、丈夫に作られていることが伺えます。

アルプスでガンガン使いたいので、耐久性を重視したい!という方におすすめしたいテントです。

ただ、壁が立ち上がっていないため、居住性はイマイチです・・・。その点は考慮に入れて、購入を検討してみてください。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

DUNLOPVS20 VS-20
価格:42900円(税込、送料無料) (2021/3/9時点)


アライテント オニドーム

出典:アライテント (株式会社アライテント■商品ラインナップ > テント > オニドーム (arai-tent.co.jp))

オニドーム最大の魅力は前室の広さです!独自のグラウンドシートの形状とフレームラインにより、フライシートの入り口をペグで固定できない場所でも前室が確保できます。

台形型のフォルムで、居住スペースもバッチリです。そして、スリーブ式テントなので強度もあります。

軽量・コンパクトなので、登山での使用ももちろんですが、広い前室と居住性を活かして、キャンプやツーリングでの使用もおすすめです。

ただ、身長の高い人だと入り口側は狭くて足を伸ばして眠れないため、購入前にはお試し必須です。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

Ripen(ライペン アライテント) ONI DOME 2
価格:51700円(税込、送料無料) (2021/3/9時点)


ダブルウォールテント比較表

ステラリッジカミナドームハバハバNXVS-20オニドーム
総重量1430g1460g1760g1870g1480g
設営サイズ間口210x奥行130x高さ105cm間口212x奥行130x高さ105cmフロア面積:2.7㎡、高さ:100cm間口205x奥行120x高さ100cm間口166(最大240)x奥行157(就寝部115)x高さ98cm
本体収納サイズ30×14.5φcm8x17x27cm46x15cm25×15φcm31×14φcm
入り口短辺側長辺側長辺側長辺側長辺側
ポール構造吊り下げ式スリーブ式吊り下げ式吊り下げ式スリーブ式
価格(税込み)¥46,970(フライ含む)¥68,200¥68,200¥42,900¥51,700
各社webサイトモンベルfinetrackMSRHCSアライテント
サイズ、価格はすべて2型

シングルウォール

モンベル マイティドーム

出典:モンベル (モンベル | オンラインショップ | マイティドーム 2型 (montbell.jp))

モンベル独自の防水透湿素材「ブリーズドライテックプラス」を使用しており、透湿防水性と通気性に優れたシングルウォールテントです。

雪山でも使用できる4シーズンモデルです。

軽量・コンパクトなため、登山だけでなく、ツーリングのお供にも最適なテントです。
ですが、初心者の方の山岳テントデビューにはダブルウォールテントをおすすめします。

重量設営サイズ収納サイズ入り口ポール構造価格
マイティドーム1410g間口210x奥行130x高さ105cm35×15φcm短辺側スリーブ式¥71,500

お気に入りテントでテント泊デビューを!

出典:Pixabay

快適な山小屋に泊まるのも良いのですが、自分だけの空間が作れて、自然の音をダイレクトに感じながら眠れるのがテント泊の醍醐味だと思います。

お気に入りのテントを手に入れて、是非テント泊登山を楽しんでみてください!

コメント

  1. ナイロンポリエステル より:

    大変勉強になりました!僕はアライテントが気になります!

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