夏山シーズンに入り、アルプスなどの高山に出かける方も多いのではないでしょうか?
まだまだ続く夏山シーズンで、どこに行こうか思案されている方もいらっしゃると思います。
「山に泊まるなら絶対テント派!」なテン泊歴11年の私が北アルプステント泊デビューの方におすすめしたいのが蝶ヶ岳~常念岳の縦走です。
小屋の情報からルートの情報まで徹底解説していきます!
この記事を読むと
・テント泊も慣れてきたし、北アルプスに挑戦したい!おすすめの山は?
・とは言え何持ってたらいいの?
・今のテント場・小屋の情報を知りたい!
ということが分かります。
こんにちは、まめぞう(@mamezou_outdoor)です!
学生時代にワンダーフォーゲル部で山を始め、登山歴11年目になりました!
スポーツ・アウトドアブランド向けに機能性生地を開発・販売する商社を経て、今は国内某アウトドアメーカーの直営店で働いています。
北アルプス蝶ヶ岳・常念岳ってどんな山?
蝶ヶ岳・常念岳は長野県安曇野市にまたがる常念山脈の中の山です。
場所的には北アルプスの南東側に位置します。
蝶ヶ岳メモ
- 標高2,677m
- 北アルプスの入門的山
- 登山ルートは三股、上高地、大滝山経由の3種類
- 山頂からは槍穂高の大パノラマが楽しめる
- 名前の由来は山頂直下に見える雪形が蝶のように見えるため
常念岳メモ
- 標高2,857m
- 常念山脈の主峰で100名山の1つ
- 登山ルートは一の沢、三股の2種類
- 山頂からは槍穂高、大天井、天気が良ければ劔や立山方面まで見渡せる
- 名前の由来は前常念岳東壁に見える雪形が、左を向き鉢を持った念仏僧(常念坊)に見えることから
- 常念坊は江戸時代に山麓の村にあったお寺のお坊さんで、常念岳を開山した方
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2泊3日テント泊の持ち物
テント泊の持ち物リストをまとめました。
必須装備からあると便利な装備までリストアップしています。
ランタンや枕などあってもなくても良いものは、持って行くかどうかはご自身で判断してくださいね。
小屋・テント場の情報
蝶ヶ岳ヒュッテ
赤い屋根がかわいい小屋です。
テント場は小屋から100m弱離れており、山頂のすぐ近く。
ペグは刺さりにくいのでその辺の石を拾って固定してあげましょう。
トイレは小屋の外に別の建物があり、そこを利用します。
男女分かれており、比較的きれいなトイレです。(個人的感想)
夜でも電気が付いていて、安心感がすごい・・・。
女子トイレの便座にはカバーが付いていて、お尻がヒヤッとしないのも嬉しいポイントでした。
水は小屋横の蛇口から汲めます。
小屋(素泊まり) | ¥9,000 |
小屋(2食付き) | ¥13,000 |
テント場 | ¥4,000(予約不要) |
水 | ¥200/リットル |
トイレ | 小屋泊・テント泊利用者は無料 素通り利用は¥100/回 トイレットペーパーあり |
自販機 | 〇(缶ビール¥600) |
1泊朝食付や夕食付、テント場利用でご飯のみ小屋利用も可能です。
詳しくは蝶ヶ岳ヒュッテの公式サイトを確認ください。
常念小屋
常念岳直下にある常念小屋。
休日の14時頃に着きましたが、受付は人が並んでいました。
テント場は2か所あって小屋の近くは小さめ、その約30m隣に大き目のテント場があります。
地形的にやや斜めになっているため、早くついてできるだけ平たいところを探すのがポイントです。
ペグは刺さりにくいので、その辺の石で固定しましょう。
水は小屋の中にある蛇口から調達できます。
トイレはそれぞれのテント場にあるトイレを利用します。
工事現場でよく見る仮設トイレが3つ。
女性用(洋式)、男女兼用(和式)、男性小用です。
トイレットペーパーはありますが、「山のトイレ」感が溢れます。
初めてのテント泊の人は覚悟して入りましょう。
トイレを出てすぐのところに手洗い場があるのが嬉しいポイントでした。
小屋(素泊まり) | ¥10,000 |
小屋(2食付き) | ¥14,000 |
テント場 | ¥4,000(予約不要) |
水 | ¥200/リットル |
トイレ | 小屋泊・テント泊利用者は無料 素通り利用は¥100/回 トイレットペーパーあり |
自販機 | 〇(缶ビール¥600) |
1泊朝食付、夕食付きの利用も可能です。
ただしテント泊利用者は小屋での食事はできなくなっています。
詳しくは常念小屋の公式サイトを確認ください。
ルート紹介
day1 三股~蝶ヶ岳ヒュッテ
今回は三股~蝶ヶ岳~常念岳~前常念岳~三股に降りてくるコースを取っています。
三股登山口近くまで車で行けるため、ここに車を止めてスタートです。
三股駐車場メモ
・駐車料無料
・トイレあり(写真奥の小屋)
・トイレットペーパーあり、水洗
・土日祝はかなり混むので早めに来るか、ここから300mほど離れた第2駐車場を利用
林道を20分ほど歩きます。
なだらかで歩きやすい道なのでウォーミングアップには最適。
この小屋で登山届を提出しましょう。
トイレはここが最後です。蝶ヶ岳に着くまでトイレはありません。
ここで標高約1,350m。蝶ヶ岳は2,677mなので一気に約1,300m上がります。
ここのトイレは
・トイレットペーパーあり
・ボットン
・手洗い場なし
ここから本格的な山道に入ります。気を引き締めていきましょう!
木道なども整備されており、かなり歩きやすいです。
橋を渡ります。
手前の看板には「増水時迂回すること」と書いてあり、橋の右手には迂回ルートの看板があります。
水かさが増している時はそちらへ迂回する必要がありますが、前常念岳方面への道に通じるため蝶ヶ岳へは常念岳経由で縦走しなければなりません。
前日に大雨が降った場合は計画自体見直した方が良さそうです。
先ほどの橋から緩やかに登って約30分、力水!
蝶ヶ岳に至るまでの水場はここしかないので、「水足りないかな?」と思う方は補給していきましょう。
冷たくておいしい!
力水からさらに40分ほど緩やかに上がっていくと、ご存知「ゴジラみたいな木」が現れます。
思ってたよりゴジラでした。
まめうち平は広くて腰掛けられるように木が置いてあるので、休憩にピッタリです。
まめうち平の手前辺りから前常念岳の展望が出てくるようになります。
2,000m地点で距離的にはだいたい半分ぐらい。
この辺りまでは急登も少なく緩やかに登ってきたという印象がありますが、ここからが本当の蝶ヶ岳登山の始まりです・・・。
階段地獄の始まりだ・・・
ここから2時間ぐらい急登が続きます。
具体的に言うと5段~10段の階段を上がる→普通の坂道→階段を山頂手前10分のところまで繰り返します。
この階段がとてもきつい!
蝶沢を通り、第二ベンチを通り・・・
確実に蝶ヶ岳山頂に近づいていってはいるので根性で登っていきましょう。
太ももの裏の筋肉を意識して、お尻から下を押し出してあげるイメージで上がっていくとふくらはぎの疲労を軽減できます。
トラバースを曲がる度に現れる階段に発狂寸前・・・
最終ベンチです。
ここで息を整えてもうひと踏ん張り!
あと15分ほどで山頂です。
大滝山との分岐まで来れば、やっと樹林帯を抜けられます。
あと5分で山頂です!もう一息!
蝶ヶ岳山頂の1段下がテント場です。
大滝山への分岐から蝶ヶ岳山頂方面に上がってくるとまずテント場があり、そこから徒歩1分でこの景色が待っています!
晴れていれば左手に穂高連峰の大パノラマが広がります。
三股を7時にスタートしてテント場に着いたのは14時頃でした。
1日目の注意ポイントとしては
・標高2,000m地点からが戦い!階段でふくらはぎの疲労をためないように
・太ももの裏を押し出してあげるようなイメージで歩くと◎
day2 蝶ヶ岳~常念小屋
蝶ヶ岳を5時半に出発。
まずは蝶槍を目指します。
蝶槍はこんもりした形が特徴で、すぐにそれと分かります。
ハイマツが茂る稜線を歩いていくと30分ほどで蝶槍に到着です。
晴れていれば常念岳が見えるのでしょうが、あいにくのガス&小雨で何も見えず・・・。
蝶槍を下っていくと樹林帯に入ります。
また樹林帯だと・・・
前日雨が降っていたためぬかるみがひどいです。
レインパンツかゲイター(スパッツ)の利用を推奨します。
蝶槍から一気に下ってしまえばしばらくは平坦な道になるのですが、途中一気に登りになります。
それでも時間は15分ほど。
急坂を上りきると2592ピークの看板がお出迎え。
ここから常念岳まであと265m標高を上げます。
ここを超えればパノラマ銀座の楽しい稜線歩きです。(晴れていれば)
今回はパノラマ銀座稜線歩き!とはいきませんでしたが、曇りの日は雷鳥に会えるチャンスです。
運よく雷鳥の親子に会うことができました。
岩がゴロゴロしている稜線歩きです。
大きい岩をよじ登ったり、岩づてに歩いていく箇所が増えます。
浮石に足を取られないように、また天気の悪い日はルートを見失わないように注意して歩きましょう。
赤丸のマーキングがしてあるので、見落とさないように確認しながら進んでいきます。
ルートが狭いのですれ違う時も登り下り関係なく、安全を確保できる側の人が避けるようにしましょうね。
常念岳山頂直下の急登を登りきると
常念岳到着!!
ピーク碑のある周辺は狭いので、写真を撮ったらすぐ避けましょう。
少し下に降りるとゆっくり座れる場所があるので休憩できますよ。
晴れていれば槍・穂高の大パノラマが楽しめます(晴れていれば・・・)
残念ながら常念山頂からの槍穂高は臨めませんでしたが、大天井方面の稜線がきれいに見えました。
常念岳を後にして常念小屋目指して50分ひたすら下ります。
ザレ場とガレ場が混在しているような道なので、浮石に足を取られないよう注意です!
また道はトラバース状になっているため、落石を起こして先を下る人に石を当ててしまわないように注意が必要です。
下りきれば常念小屋に到着です!
山頂でかなりゆっくりしたので小屋には14時前頃に到着しました。
ガスが晴れてくれれば槍穂高の大パノラマを眺めながら夕食が楽しめます。
2日目の注意ポイントとしては
・蝶槍からしばらく続く樹林帯は、前日雨が降っていたならゲイター(スパッツ)必須
・常念岳の稜線は大きな石がゴロゴロしているので浮石・落石に注意
・天候が悪いとルートが分かりにくくなるので道迷い注意
day3 常念小屋~三股
常念小屋~前常念岳~三股までのルートは体力を要するルートです。
毎年疲労で動けなくなってしまったため救助要請するケースが多いそうです。
途中水場もなく前半は岩場歩き、後半は急な樹林帯の下りが続くので不安な方は一の沢に下山することをおすすめします。
5時に常念小屋を発ち、常念岳山頂手前にある前常念岳への分岐を目指します。
朝は肌寒くテント撤収中はフリースを着ていましたが、スタートから上り坂ですぐに暑くなることを考慮してウインドブレイカーに切り替えました。
歩き始めは少し肌寒いぐらいの格好がオススメです!厚着しているとすぐに脱ぎたくなるので。
小一時間ぐらいで三股への分岐に到着です。
常念岳山頂にはここから10分ぐらいで上がれるので、下山前に上がっても良し。
ただここからの景色も良いです。
槍穂高連峰はバッチリ。
大天井方面も見えますし、劔・立山方面まで見えました!
道も広いのでここで景色を楽しんでから前常念岳へ下っていきます。
ちなみに今日は約1500mの標高差を一気に下ります!
分岐から20分ぐらいはハイマツの間の道を歩いていきます。
360°の展望を満喫しましょう。
実は常念小屋から少しだけ常念岳方面に上がったところからもこの道に通じるルートが出ています。
ただし山と高原地図上では破線ルートになっているため、今回は利用しませんでした。
大きな岩がゴロゴロとし始めます。
岩の上を歩いていくので、ルートの見落としや浮石に注意です。
前常念岳へ続く稜線から樹林帯に入るまでは、富士山と南アルプス北部の山々を眺めることができます。
分岐から小1時間ほどで前常念岳に到着です。
山頂は広めなので、ゆっくりできます。
山頂直下に石室がありますが結構古い感じでした。
中に入れるかは確認していません・・・
前常念岳からは1時間半ほど砂礫と岩の急坂を下っていきます。
砂礫に足を取られて滑落しないよう注意が必要です。
梯子が1か所だけあります。
この梯子まで来ると樹林帯に入っていきます。
梯子はしっかり固定されているか確認して使いましょう!
踏ん張りどころの樹林帯です。
樹林帯に入ってから登山届を出したところまで3時間半ほどかかりました。
トラバースの下り坂が永遠に続きます。
木の根っ子に足を取られないよう、休み休み下っていきましょう。
蝶ヶ岳へ向かう途中の橋の手前にあった「増水時は迂回路へ」の迂回路はここに通じます。
この看板までくればあと一息!
看板から20分ほどで沢に出ます。
沢までくればあと10分かからず林道です!
山道から林道終点に出ると売店が!
蝶ヶ岳ヒュッテの方がキンキンに冷えたコーラやラムネを販売されています。
土日のみ出張販売されているそうです。
疲れた体に炭酸が沁みる!神のラムネ!
ここで喉を潤したら、三股の駐車場まで林道を20分歩けば無事下山です!
3日目の注意ポイントとしては
・常念小屋~前常念岳までは浮石多いので落石に注意!
・行動時間が長いので早く出発する
・水は常念小屋で多めに汲んでいくこと
必要水分量の目安は(体重+荷物)×5ml×行動時間
例:(50kg+13kg)×5ml×7時間=2,205ml
・前常念経由三股へのルートは体力に自信のある人向き。不安な方は一の沢への下山を!
北アルプス・パノラマ銀座で稜線歩きを楽しもう!
蝶ヶ岳~常念岳の縦走は北アルプスの中では難易度も低めで、アルプスでのテント泊デビューの方にもオススメです。
槍穂高の大パノラマを求めて、是非絶景登山に挑戦してみてください。
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