寝袋ってどうやって選べばいいの?
縦走登山やキャンプで快適に寝るために欠かせないのが寝袋です。しかし、各社から様々な種類の寝袋が出ていて、何を選べばよいのかよく分からないという方、そもそも何を基準に選んだら良いの?という方もいらっしゃると思います。
寝袋を選ぶ時にチェックすべきポイントとおすすめ商品を4つ紹介していきます!
寝袋の素材
ダウン
寝袋の素材には「ダウン」と「化繊綿」のどちらかが使われています。ダウンは羽毛を使用しているため、化繊綿に比べて軽く小さくなり、携行性に優れます。登山をする方で、できるだけ荷物を軽く・小さくしたい方は、ダウンを選ぶと良いでしょう。
デメリットとしては、テント内の結露などで濡れてしまうと、保温性が落ちてしまうということが挙げられます。また、化繊綿よりもお値段は高くなります。
ダウンの製品を選ぶ時は、FP(フィルパワー)という数値をチェックしてみてください。FPとは、ダウンのかさ高さを表す値で、数値が高ければ高いほど、同じグラム数のダウンなら、よりかさ高になります。
FPの大きいダウン製品は、より軽くコンパクトになります。
例:650FP< 800FP < 1000FP
化繊綿
化繊綿はポリエステル繊維から作られているので、濡れに強いのが特徴です。また、ダウンに比べて値段が安いのもポイントです。
デメリットとしては、ダウン製品と同じ快適温度のものを選ぶと、大きく・重くなることがあります。キャンプの使用を考えており、できるだけ値段も安く済ませたいという方は化繊綿の寝袋がおすすめです。
寝袋の形
マミー型
寝袋の形は大きく分けて「マミー型」と「封筒型」の2つに分かれます。
「マミー型」(=ミイラ)は、頭までをすっぽり覆うタイプの寝袋で、身体と寝袋の間に隙間ができにくく、保温性が高いのが特徴です。
登山用の寝袋はこのマミー型が採用されています。デメリットとしては、身体に密着している分、寝袋の中で身体を動かしにくいということが挙げられます。また、価格も封筒型に比べて高くなります。
封筒型
「封筒型」は、上から下まで同じ幅の長方形で、普通の寝袋としての使い方以外にも、側面のジッパーを全開にすると1枚の大きな布団のようになるので、家族でのキャンプでも掛布団のようにしても使えます。
また、同じ種類のシュラフであれば、ジッパーとジッパーを連結させて更に大きな掛布団として使用することもできます。
ですが、収納サイズがかなり大きいため、登山用には向いていません。また、保温性もマミー型に比べて低くなります。
価格はマミー型に比べて安いので、キャンプで使用を考えている人にはおすすめです。
対応温度の見方
寝袋を選ぶ時にチェックすべき最大のポイントは「対応温度」です。
寝袋の袋に書いてあるこのような表記を見たことはないですか?
T Comfort
T Limit
T Extreme
この3つ、温度を表しており、これが寝袋を選ぶ時の指標となります。
T Comfort (Temperature Comfort) = 快適温度:厚着をせず、リラックスした体勢で眠れる温度
T Limit (Temperature Limit) = 限界温度:厚着をした状態で、身体を縮こまらせた状態で5-6時間程度の短い睡眠がとれる温度
T Extreme (Temperature Extreme)= リスク温度/エクストリーム温度:ギリギリ死なないが、眠れない温度
リスク温度では基本的に使用できないと考えてください。危ないです。寝袋を選ぶ時は、T Comfort (快適温度)を目安に選ぶのが〇です。
おすすめ商品の紹介
モンベル シームレスダウンハガー900
モンベルの「シームレスダウンハガー900」のおすすめポイントは3つあります。
①寝袋の表面に縫い目がないこと
②ストレッチがきいていること
③軽いのに保温性が高いこと
①寝袋に限らず、ジャケットなどダウンを使用した商品は、ダウンの片寄りを防ぐために、生地を縫ってジャケットを部屋のように区切り、そこにダウンを入れています。
しかし、その縫い目から冷気が出入りしてしまうので、縫い目が減れば減るほど、冷気の出入りが少なくなり、保温性がUPします。
最近は、シームレス(=縫い目がない)ダウンも販売されていますよね!このシームレスダウンハガー900も、縫い目をなくすことで保温性を高めています。
ダウンの片寄りを防ぐために採用されているのが、「スパイダーバッフルシステム」です。「スパイダーヤーン」という特別な糸を寝袋内に張り巡らせることで、その糸にダウンが絡んでその場にとどめられるという仕組みです。
また、縫い目がないことでダウンを移動することができるため、冷えやすい足元に多めにダウンを寄せることもできます!
②「マミー型の寝袋は寝返りがうてない」という固定観念を打ち砕くのが、「スーパースパイラルストレッチシステム」です!生地(織物)は斜め方向に引っ張ると、伸縮します。その原理を利用して斜めにカットした生地を使用することで、寝袋にストレッチ性を持たせています。
さらに、内部の縫い目部分に糸ゴムを使用しているため、よりストレッチ性が増しています。伸縮率は驚異の135%で、寝返りもラクラクです。
③900fpのダウンを中綿に使用しているため、抜群の温かさと軽さをほこります。一般的に、700fpあれば高品質のダウン製品とされるので、900fpがいかにすごいかが分かりますね。
収納したときの重量は512g(#3の寝袋)で、サイズもかなりコンパクトになります。ちなみに#3の快適温度は4℃なので、夏の高山縦走や冬の低山でも快適に使用できます。
フィルパワー | 900fp |
重量 | 512g |
収納サイズ | φ12 x 24cm |
快適温度 | 4℃ |
限界温度 | -1℃ |
NANGA オーロラライト450DX
NANGAのフラッグシップモデルである「オーロラ」シリーズから、3シーズン対応モデルの「オーロラライト450DX」を紹介します!この寝袋のポイントは
①チタンによる蓄熱・保温効果
②2種類の内部構造による保温性と軽量性を達成
③噛みにくいジッパー
①チタンを含む生地を採用することにより、チタンの持つ蓄熱・保温効果を活かして、より保温性の高い寝袋になっています。これにより、自分の体から出る熱を寝袋内に閉じ込めてくれるので、温かさを保ってくれます!
②寝袋の上部分には、「ボックスキルト構造」を使用しています。表地と裏地の間にメッシュ生地を配置し、ダウンの入る四角い部屋を作ってあげます。それにより、ダウンが片寄ってしまうのを防ぎます。
また、下部分には「シングルキルト構造」を採用しています。表地と裏地を直接縫い合わせ、できた隙間にダウンを入れます。ボックスキルト構造のようにメッシュの隔壁を使わないため、軽量化を実現できるのです!ただ、ボックスキルト構造に比べて、保温性は劣ります。
オーロラ450DXは、この2つの構造を採用していることで、保温性と軽量性の両方を実現しているのです。
また、760fpのダウンを使用しているので、保温性・軽量性も申し分なく、重さは865g、快適温度は0℃と、夏のアルプス縦走でも快適に眠れます!
さらに、冷えやすい足元には多めにダウンが入っているので、足元の冷えも軽減してくれます。
③寝袋の生地には15デニールや20デニールなど薄手の生地がよく使われています。これがまた、ジッパーを上げようとするとよく噛むんです・・・。
生地が薄い分、噛んでしまったときに破けてしまわないか焦ってしまいますよね。そんな悩みを軽減してくれるのが、NangaとYKKが共同開発した嚙みこみ軽減パーツです!
特殊パーツにより、噛みこみの原因となる隙間を減らしてくれ、噛みこみにくく、万が一噛んでしまっても、生地への負担を軽減してくれるのです。
さらに、暗闇でも開閉しやすい蓄光機能が付いているのもありがたいです。
フィルパワー | 760fp |
重量 | 865g |
収納サイズ | φ14 x 30cm |
快適温度 | 0℃ |
限界温度 | -5℃ |
ISKA パトロール600
ISKAからは、コスパに優れる化繊綿を使用した「パトロール600」を紹介します。この寝袋のポイントは、
①撥水性能がある
②値段が安い
①生地に撥水性能が施されているため、テント内の結露による濡れを防いでくれます!そして万が一濡れてしまっても、濡れに強い化繊綿を使用しているため、乾きが早く、保温性を損ないません。
また、冷えやすい足元には多めに綿が入っているのもポイントですね。
②パトロール600の最大のポイントはコスパが良いことです。対応温度は2℃と、3シーズン使用できるスペックながら、なんと税抜き7,300円で買えてしまうのです!
その安さから、山岳部やワンダーフォーゲル部で使用されることも多く、筆者も学生時代とてもお世話になりました(笑)
夏のアルプスではもちろん、10月の3000m級の山でも十分温かかったです。ただやはり、化繊綿なので、収納サイズはダウンに比べるとどうしても大きくなってしまいます。私のザックのシュラフドームはいつもパンパンでした・・・。
できるだけ安く装備をそろえたい方や、キャンプでの使用を考えている方におすすめの寝袋です!
重量 | 1300g |
収納サイズ | φ20 x 33cm |
対応温度 | 2℃ |
NEMO フォルテ35
NEMOのフォルテ35のポイントは2つです。
①NEMO独自開発の「スプーン型」寝袋
②温かいのにコンパクトな化繊綿
①一般的なマミー型の寝袋は、仰向けで寝ることを想定しており、先述の通り寝返りがうちにくいのがデメリットでした。
そこに着目したNEMOは「スプーンシェイプ」を開発!肘と膝部分にゆとりをもたせているため、横を向いても快適に眠ることができます。これで寝返りも余裕でうてちゃいます。
②フォルテ35では、水濡れに強い化繊綿を使用しています。ですが、化繊綿は重くてかさばる・・・。
そのデメリットを払拭するのが、Primaloftを使用したオリジナルの中綿です。Primaloftは、羽毛のように軽くて温かいのに、羽毛にはない撥水性を持っている高機能素材のことで、羽毛に代わる新素材として、ジャケットなどにも使われるようになってきました。
そんな高機能素材を使用しているので、化繊なのに960gと軽く、保温性も抜群なのです!
重量 | 960g |
収納サイズ | 29 x 23cm |
対応温度 | -1℃ |
自分に合った寝袋で快適なアウトドアを!
登山やキャンプで快適に眠るためには、寝袋は必需品になります。大自然の中、静寂に包まれたテントの中で眠るのは、格別ですよ!
この記事が皆さんのシュラフデビューの参考になれば嬉しいです♪
コメント