登る山・季節に応じたレイヤリング
前回の記事では、ベースレイヤー・ミッドレイヤー・アウターレイヤーのそれぞれの役割を解説し、おすすめの商品を紹介しました。
登る山、行く季節によって装備は変わってくるので、標高別・季節別にレイヤリングの具体例を紹介していきます。
夏の低山
標高1,000m前後の低山に夏場登る場合は、次のような服装が良いでしょう。
上:速乾性のあるインナー+接触冷感素材の長袖シャツ or 半袖Tシャツ+接触冷感のアームカバー
下:薄手の長ズボン or ショートパンツ+薄手のタイツ
夏の低山では虫刺され・日焼けを防ぐために、長袖シャツの着用をオススメします。接触冷感素材のものを選べば、長袖でも快適に行動できます。
夏に長袖は暑くて無理!という方、私もです(笑)。半袖Tシャツに接触冷感のアームカバーを装着すれば、虫刺され、日焼け対策にもなります。
下は、虫刺され防止のためにも薄手の長ズボンを選ぶのが良いでしょう。ショートパンツ派の方は、タイツを履くのを忘れずに!
夏場と言えど、山頂では汗冷えも相まってヒンヤリ感じることもあるため、薄手のウィンドブレーカーを持って行くと良いです。また、熱中症対策のため、必ず帽子を持って行きましょう。顔の日焼け対策にもなります。
夏の低山向けおすすめアイテム
ベースレイヤーにはMilletのドライナミックメッシュをおすすめします。疎水性の高いポリプロピレンをかさ高メッシュに編み上げることで、かいた汗を素早く吸収、放出してくれます。
また、メッシュ生地のため肌に触れる表面積が少なくなり、汗をかいた時にインナーが肌にはりつく不快感を軽減してくれます。
蒸れにくく、汗冷えしにくいモンベル独自の「Wickron ZEO」という素材を使用しています。通気性に優れていて蒸れにくく、またインナーが吸ってくれた汗を素早く吸収・拡散・放出してくれるので、汗冷えもしにくいです。春から秋まで3シーズン使えるため、コスパ〇な長袖シャツです。
優れたストレッチ性があるため、ストレスなく登山を楽しめます。また、撥水性もあるため小雨程度の雨ならへっちゃらです。適度なハリ感とサラサラした風合いで夏に最適です。
夏の高山
標高2,000mを超えてくると高山に分類されます。
樹林帯を歩いている間は平地とあまり気温差を感じず暑く感じるかもしれません。ですが、森林限界を超えてくると遮るものがなくなるため、晴れた日には直射日光を、雨や風の強い日には風や打ち付ける雨による寒さをダイレクトに感じるようになります。
また、夏場の日本アルプスなどでテント泊となると、夜は10度を下回ることはザラなので、防寒対策は必須です。
夏の高山に行く時は、次のような服装がおすすめです。
上:速乾性のあるインナー+薄手の長袖シャツ、稜線に出たら薄手のウィンドブレーカーやインサレーションジャケット、ハードシェルを羽織る
下:薄手の長ズボン
山頂付近で宿泊される方は、ダウンジャケットを持って行くと良いでしょう。
私は、ユニクロのウルトラライトダウンを使っています!
コンパクトになり、それなりの保温性もあり、なによりアウトドアメーカーのものに比べて安いので愛用しています。もちろん、アウトドアブランドのものは値段に見合うだけの機能がついているので、何を重視するかで自分に合ったものを選びましょう!
夏の高山向けおすすめアイテム
ハードシェルとは思えないしなやかさと軽量性を実現したモンベルの「ストームクルーザージャケット」。GORE-TEXのC-KNITバッカーを採用しているため、柔らかさだけでなく、防水性・透湿性も申し分ないです。レインウェアですが、稜線上の防風用に羽織るのも〇です。
耐水圧 | 50,000mm以上 |
透湿(B-1) | 35,000g/m2/24hrs |
重量 | 227g |
価格 | ¥20,800(税抜) |
春・秋の低山
春・秋の低山は寒さも残る中、行動中は汗ばむかと思います。かといって、山頂で止まっている間は冷えも感じるので、防寒対策は忘れずに!
ネックウォーマーをザックに忍ばせておくと、首元を温かく保てるのでおすすめです。
春・秋の低山では次のようなレイヤリングが良いでしょう。
上:速乾性のあるインナー+薄手の長袖シャツ、薄手のウィンドブレーカーや中綿ジャケット or フリースなど保温性のあるウェア
下:中厚手の長ズボン
ジャケットを上手く脱いだり着たり、チャックを開けて熱を逃がしたりして汗冷えをしないように気を付けてください!
春・秋の低山向けおすすめアイテム
Patagoniaのレギュレーター(R)シリーズからR1ジャケットをおすすめします。
通気性と伸縮性のある2重織の生地を使用しているため、柔らかな肌触りとストレッチ性を実現しており、着心地抜群です。
グリッド(格子状)フリースの生地が使われているので、吸った汗を素早く拡散・放出してくれるので、汗冷えから守ってくれます。暑がりな方はこれ1枚を行動着として着て、停滞中にウィンドブレーカーやダウンジャケットなどを羽織ると良いでしょう。
雪山
雪山ではいかに汗冷えをせずに、体を冷やさず体温を逃がさないかが重要です。
冬山といえど行動中は温かくなり汗もかきます。保温着のチャックを開けるなどしてうまく体温調節をしましょう。また、稜線上に出ると風を受けて体感温度は急激に下がります。ハードシェルを着用して行動するようにし、停滞中はダウンジャケットを着て保温するようにしてください。
雪山では次のようなレイヤリングがおすすめです。
上:保温性・速乾性のあるインナー+薄手の長袖シャツ+インサレーションジャケット or フリースなど保温性のあるウェア、稜線上はハードシェル、停滞中はダウンジャケット
下:薄手のタイツ+裏起毛のパンツ or 厚手のタイツ+薄手/中厚手の長ズボン+レインウェアのパンツ or アルパインパンツ
**標高や積雪量に応じてレインパンツにするのか、アルパインパンツにするか選びましょう。
**スパッツ(ゲイター)は必須です!
**靴下は、薄手の靴下の上にトレッキング用の厚手の靴下の重ね履きがおすすめです。
雪山向けおすすめアイテム
Patagoniaのレギュレーターシリーズから、R2ジャケットをおすすめします。
ポーラテック・サーマル・プロ素材を使用した毛足の長いフリースなので、空気を含んで抜群の保温性を発揮します。行動中はこれ1枚羽織れば十分暖かいです。また、サイド部分にはグリッドフリースを使用しているため、通気性が高く、ウェア内の蒸れを放出してくれます。お値段は張りますが、冬の行動着としてはもちろん、夏山高山のダウン代わりの保温着としても使える優秀ウェアです。
レイヤリングをマスターして山を楽しみましょう!
2回に分けて、レイヤリングとはどういうものか、実際のレイヤリング例を紹介しました!適切なレイヤリングをマスターすることで、高機能ウェアの性能を最大限活かし、快適な登山が楽しめます。2021年から登山を始めたいという方、新しいウェアの購入を検討されている方の参考になれば幸いです!
前回の記事はこちらから↓
https://mame-outdoor.com/layering/
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